たくさんのスケーターが、スケートを諦めなくてはならなくなる
高田馬場にスケートリンクを残したいということで、引き続き署名運動やってます。
フィギュアスケートをやっている人であれば、日本のフィギュアスケートが西高東低状態にあることは常識だと思います。
日本のフィギュアスケートの金メダリストは、荒川静香さんと羽生結弦選手。荒川さんは神奈川県出身ですが、2人ともスケーターとして育ったのは仙台。なので、金メダリストが出ているのは「東」なのですが。
強い選手を多く輩出しているといいますか、層の厚さでは西が圧倒的です。大阪では関大が、愛知では中京大学がリンクをもっています。
とはいえ、リンクの数だけでいえば、関東圏だってたくさんあるじゃないかといわれるかもしれませんが、人口が違います。住民も多い分、スケート人口も多いのです。
いま、シチズンプラザのスケートリンクでは、就学前から大学生まで、数百人の子供たちが練習を続けています。じつは、シチズンプラザの閉鎖が発表された際には「代わりといってはなんですが、南船橋にリンクができるので、そちらへどうぞ」という話がありました。
しかし、しかしですよ。
近所にあるから、高田馬場だから(山手線、東西線、西武新宿線など交通が便利です)通うことができたという子供たちも少なくありません。
朝の練習は早いときは4時半に始まります。スケートを頑張るために、一家で近くに引っ越してきた人も少なくありません。もともとの家を売って移ってきた、なんて話だってききます。
それに子供たちは学校にも行かなくてはいけません。スケートに打ち込むために私立の一貫校に進んだ子供さんなどは、そう簡単に転校するわけにもいかないでしょう。
もちろん、何があっても子供をサポートしようという親御さんのなかには、引っ越しをしてでもスケートができる環境を守ろうという方はいらっしゃるでしょう。でもそれができるのは、ごく一部となるでしょう。
すでに、シチズンのリンクが閉鎖されたら、スケートは辞めざるをえないと考えている子供たちは少なくありません。
大人スケーターもそうです。都内のリンクは飽和状態です。最も都心にある明治神宮外苑スケート場は、現在以上に混雑するでしょうし、大人スケーターがジャンプやスピンといったエレメンツの練習ができる環境が確保できるとはちょっと思えません。
東伏見のダイドードリンコスケートリンクは比較的都心から近くにありますが、多くの大人が集中的に練習に使ってきた週末はしばしば、試合やイベントなどで終日貸切で埋まっていますし、平日も一般滑走時間が短いので、練習できる見込みは薄いのです。
つまるところ、思い切った引っ越しでもしない限りスケートを続けるのは非常に困難。仕事のこと、家族のことを考えると、そう簡単に引っ越しもできませんから、そうなるともう、冬場に何度か練習できれば……という程度になってしまう可能性もあります。
そうなるともう、技術を磨くなんて言ってはいられないことでしょう。
スケートは、氷がなければ練習にならないからです。
陸上練習はもちろんありますが、結局は氷の上でエッジにのって滑ってみなければ、技は磨けないのです。