昔々、高田馬場にスケートリンクがありましたとさ

高田馬場のシチズンプラザアイススケートリンクが閉鎖されました。スケートを愛する大人スケーターが、氷上スポーツの今後について考えます。

いくつになっても滑り続ける=ちょっと番外編=

すいません、ちょっと番外編です。

 

管理人はちょっと中国とご縁があって、以前は毎年のように行っていました。

 

最後にゆっくり行ったのは2017年ですが。

 

中国はまだまだどんどん豊かになっている最中です。新しいスケートリンクもたくさんできています。日本にはないパターンですが、ショッピングモールの中に小さめのスケートリンクがあって、吹き抜けの2階や3階からリンクを眺めることもできる、なんていうところもあります。

 

そんな中国の、2022年には冬季五輪も開かれることになっている北京。

その老舗リンクの一つが、国際貿易センターというオフィスビルと外国人用マンション、ショッピングモールが一体になった施設のなかにあります。

 

2017年の11月、そのリンクで滑っていて知り合ったのがこのおじさんでした。フェイスブックで見かけてびっくりしました。ちなみにこれは、香港の英字紙「サウスチャイナモーニングポスト」の記事です。

 

知り合ったときは、「あんた、けっこう踊れてるじゃないかい!」って声をかけてくれて、おしゃべりが始まりました。

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大人スケーターは世界中にいます。ISU(国際スケート連盟)も、大人スケーター向けの大会も開催していますし、そんな大会に出てなくてもコツコツ滑っている愛好家はたくさんいます。

 

このジーさん(爺さんじゃなくて苗字がジーさん)もそんな一人です。

 

いま75歳のジーさん。8歳から55歳まではスピードスケーターだったのだとか。で、その後の20年はフィギュアスケーターとして練習を積んでいるそうで。

 

44歳で当時15歳の息子を亡くしたジーさんは、その後10年もの間、息子が実は生きていたっていう夢を見続けたそうです。

 

そして2019年には、長年連れ添った奥様も亡くされたとか。

 

でも、滑ってる間は嫌なことは全部忘れて滑っている、とジーさんはいいます。

 

スケートがあったから、救われている部分はきっとあるのだと思います。

 

そうなんです。一人ひとりのスケーターにとって、スケートはただの趣味とか遊びではない。それは、いろいろなところで救ってくれるものでもあったりするのです。

 

ジーさんと私が交流したのは、ほんのわずかな間でしたが、でもお元気かなーと時々思い出していました。いろいろあったみたいだけど、お元気そうでよかった。

 

北京の大会も今年は中止になったようですが、来年は開催されますように。

 

そして、東京にいる私の周りのスケートを愛する人たちが、大好きなスケートを続けていくことができますように。

 

【追記】

書き忘れていましたが、ジーさんの若いイケメンコーチのコメント。

ジーさんは、レッスンの度に新しい技を教えてくれって言われるんですよ」

ジーさん自身は

「フィギュアって難しくて、トウループジャンプ跳べるようになるのに10年かかっちゃった。クアド跳ぶころには115歳になっちゃうな」

ジーさん、ナイス。

 

まだまだ署名活動やっております。ご協力お願いいたします。

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東京都のスケート事情はこれからどうなっていくのだろう?

署名活動、まだまだやっています。

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さて、あちこち資料を読み散らしたりしつつ、なかなか考えがまとまらないことも多いのですが、

 

このところものすごく気になっていることがあります。

 

シチズンプラザのスケートリンクに関して、もうどこも満杯状態のスケート人口、特にトップを目指して日々研鑽を重ねている選手たちの受け入れ先が、どうやら足りない。諸所の事情で辞めざるを得ない選手がたくさん出そうだということは、先日すでに書きました。

daisuki-otona-figureskating.hateblo.jp

 

ずっと引っかかっているのは、これはシチズンクラブだけの話だと考えていいのだろうかって話です。

 

シチズンプラザ以外に、現在東京都で営業している通年リンクは明治神宮外苑アイススケート場ダイドードリンコアイスアリーナ東大和スケートセンターの4か所です。

 

明治神宮外苑アイススケート場は、1963年にできたリンクでしたが、オープンから約50年を経て、2017年に数カ月休業して大々的な改装を行いました。このときに、冷凍機材や配管もすべて入れ替えたので、よほどのことがない限り、今後も営業していくのではないかと思われます。

 

現存している都内のリンクで次に古いのがシチズンプラザで、1975年のオープンでした。今年でスケートリンクができて45年になります。

 

続いて、1984年オープンのダイドードリンコアイスアリーナ。オープンから今年で36年になります。

 

東大和スケートセンターは最も新しくて、1993年のオープンです。今年で27年ということになります。

 

あとは、通年ではありませんが、江戸川区の江戸川スポーツランドのスケートリンク。10月から5月までの営業ですが、ここでもインストラクターについて練習している選手たちがいて、リンクがない間は、シチズンをはじめ他のリンクで練習しています。始まったのは1982年です。プール営業終了後に毎年氷を張っているので機材などどういうシステムになっているのかわからないのですが、始まってから38年経っているんですね。

 

flip-flop.world.coocan.jp

度重なる震災によって耐震基準は年々厳しくなっていますし、建物の老朽化も進んでいます。加えて、フロンを使った冷凍機材などは使えなくなっていきます。建築物および冷凍機材の更新を機に、他のリンクでも閉鎖が検討される可能性はゼロではありません。

 

それがいまではないとしても、検討の俎上に上がったそのとき、世界的、国内的な氷上スポーツの人気はどうなっているか、競技人口はどうなっているか、わかりません。

 

人気が絶頂にあり、黒字が出ているリンクですら閉鎖が真っ先に検討されているのですから、そのとき、経営者が経営続行を決めるかどうかはまったく不透明です。

 

企業のトップは移り変わっていきます。スケート競技への協力に熱心な人もいれば、そんな無駄なものは切り捨ててしまえ!という人が決定権を持つ地位に就くこともあるでしょう。しかし、民間のリンクというのは、まさにそういう薄氷のようなバランスの上でようやく成り立っているのです

 

でも、競技者側は「民間だし、しょうがないよね」では済まされないものがあります。

だって、子供たちは子供なりに、大学生は大学生なりに、大人だって大人なりに、人生をかけてスケートに取り組んできたのですから!

 

だからこそ、そういうこれから更新時期を迎える可能性のあるリンクの将来についても、前もって考えていく必要があるのではないでしょうか。

 

シチズンプラザの閉鎖に直面して、利用者が直面している問題は、決してシチズンプラザだけの問題ではないのです!

フィギュアスケートを持続可能なスポーツにするために

署名活動にご協力お願いいたします。

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最新号のフォーブス・ジャパン。経済誌です。

なんとスポーツビジネスがカバーストーリーでした。

つい数日前に、内田篤人選手が引退を発表したばかりの鹿島アントラーズのキーマンたちが表紙を飾っています。

すいません。メルカリが入っていたの、知りませんでした。

記事のなかで、メルカリの会長でアントラーズの社長である小泉文明さんが、数年前に柴崎岳選手と知り合って久々に鹿島スタジアムに行ったのをきっかけに、クラブとの関係を深めてスポンサーシップにつながった……という記述がありまして。

ああ、やっぱりお金のある人をファンにしなくちゃいけないんだよなあ(おい)と思ったのでした。

よこしまですけれどもね。やっぱりそうじゃないですか?

少し前にも書いた通り、日本のサッカークラブチームだってうはうはで儲かっているわけではありません。

いい選手を集めるだけでなく、育て、子供たちから育成にも力を入れることで、選手だけでなくファンも育てていく。どのチームもそのためにさまざまな頭脳を集めて戦略を練っているわけですが、それだって決して簡単ではないわけですが。

常に新しいことを考えながら、特に新型コロナの時代を経て、これからどうやって収益を確保しつつ持続可能なビジネスとしていくか、大きな課題です。

そのあとに、フェンシング協会会長の太田雄貴さんのインタビューがあって、「日本では注目を集められるスポーツは野球、サッカー。それにフィギュアスケートくらい」と、フェンシングをビジネスとして成り立たせるための苦労を語っています。

もちろん、フィギュアスケート界の現状にいまかなり絶望している私などは「そんないいもんじゃないです」と読みながら突っ込みを入れていましたが。

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forbesjapan.com

まだ読み終わったわけじゃないんですが、この特集を読んでいるとやはり考えざるをえません。投げた打った蹴った点が入ったとか、勝ち負けがはっきりとわかりやすいスポーツと、採点競技であるフィギュアスケートのようなスポーツは、やっぱりビジネスとして成立し続けるために必要な要素とか、やり方は自ずと違ってくるよなあと。

 

先日の町田樹さんのインタビューに接して、その辺りは理解しておかなくちゃいけないなあと、ビンボーなくせにポチってしまいました。ええ、読むのはまだこれからです……w

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 www.amazon.co.jp

 

No Skate No Life!と思っている立場から言わせていただければ、フィギュアスケートってヨガとかマインドフルネスなんかに興味がある人には、とてもお勧めなスポーツなんです。

エグゼクティブなんかにはとっても合っているじゃないでしょうか。

たいていの人はフィギュアスケートというと、羽生結弦選手や紀平梨花選手なんかが演技しているような、あるいは伊藤みどりさんとか……音楽に合わせてひらひらした衣装を着て滑ること、というイメージを持っていると思います。

 

確かに試合はそういう感じのものですが、もともとは「図形」を意味するFigureという言葉からその名称がついているわけで、インサイドとアウトサイド、2つの刃を持つブレードを使って、氷の上にいかに正確に図形を描くかってスポーツだったわけで。

基礎練習をやっているときは、修行僧かなんかにでもなったかのように、ひたすらエッジ(刃)を使いこなす練習をするわけです。

寒いところで!(練習してると寒くはないですが)

 

派手に転ぶと確かに怪我することだってありますが、まあそのくらいのリスクはどんなスポーツにもありますし、熱中症になることはまずありませんし。日焼けもしません。

精神を集中して、もくもくと練習していると、まあできないとイライラもしますが、心の中はシーンとなってくるものです(あ、でも基礎練習が嫌いな人も少なくないですが)。

 

ひたすら自分の体と向き合う時間。姿勢のゆがみなどが如実に影響してきますから、向き合わざるを得ないのです。

やっているうちに、やっぱりもっと派手なステップやスピン、ジャンプなんかもやりたくなってくるはず。

ただ、そういうものは、最初、力任せにやってうまくいくこともあるんですが、それでは後がないんです。結局のところ力だけでは難易度の高いところまではいけない。

力よりも、むしろ力まず正しい姿勢で正しいエッジで体重移動をうまくやることのほうが、近道だったりします。そういうことを体験していると、なんだかそれが人生にも通じているようで、いろいろ考えさせられたりもします。

 

もちろんそういうのはみんな、結構年をとってからスケートを始めた私の個人的な感想でしかないんですけれども。

たまに、例えば弓道とか、ゴルフとか、そういうスポーツと相通ずるところがあるんじゃないだろうかって思うことがあるんです。

 

いろんな会社の偉い人にスケートファン(滑る方)になっていただいて、たくさんリンク作ってもらうのが、本当はいいんでしょうけれども。

 

そこの社長さん、ちょっと滑っていきませんか?(いまは一般営業やってませんが)

検索してみた「シチズンプラザ 閉鎖」耐震診断結果は!?

いまさらですが、ほんとうに単純なんですが、「シチズンプラザ 閉鎖」でぐぐってみました。

 

閉鎖によって多大な困難をこうむる側でありながら、案外こういう単純なことをやってなかったんだと、過去の自分にちょっとびっくりしました。

 

2015年3月の日経にこんな記事がありました。

www.nikkei.com

さらに、みていくとこんなのもありましたよ。公開されてるものなんですねえ。

「固定資産の譲渡及び特別利益の計上に関するお知らせ」という文書で、シチズンホールディングス株式会社がシチズンプラザの土地を三井不動産に売却するにあたっての文書です。 

https://www.citizen.co.jp/files/20150326.pdf

「1.譲渡の理由
当社は、平成 25 年2月に平成 31 年3月期を最終年度とする中期経営計画「シチズングローバルプラン2018」を策定し、当初の3年間(平成 26~28 年3月期)に徹底した構造改革と体質の強化を行い、次の3年間(平成 29~31 年3月期)でコスト構造改革により捻出した資金を積極的に成長投資に振り向けることで業績の拡大を図り、「世界で勝ち抜く真のグローバル企業」を目指しております。
そのなかで、経営資源の有効活用及び財務体質の向上を図るため、当社の保有する土地の一部を譲渡することといたしました。」

 

 

ma-times.jp

 

これまで、ISUのスポンサーをどこよりも長く続けてきたことをアピールしていましたが、ついに今シーズンからはスポンサーを降りたという話も……。

citizen.jp

 

フィギュアスケートシチズンが結び付けられるのは、羽生選手が広告塔を務めている中国シチズンのみになっていくってことなのでしょうね。

 

citizen.jp

 

ところで、19年5月の「高田馬場経済新聞」には「旧ホテルサンルート高田馬場、解体進む 来春、解体終了へ」と題して高田馬場駅周辺で行われる解体工事のニュースを報じています。

https://takadanobaba.keizai.biz/headline/188/

そのなかにこのような一節が。

2013(平成25)年に改正された「建築物の耐震改修の促進に関する法律」の規定により、不特定多数の人や避難上特に配慮を要する人が利用する大規模建築物である「要緊急安全確認大規模建築物」として耐震診断が義務付けられ、新宿区がその結果を2018(平成30)年3月に公表していた。高田馬場エリアでは、このほかに高田馬場駅前の「稲門ビル」(高田馬場2)、「シチズンプラザA館」(高田馬場4)などがリストに含まれている。

シチズンプラザA館というのは、すなわちスケートリンクが入っている建物のことです。そして「平成2年2月28日付」の新宿区による耐震診断の結果はこちら。

http://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000235208.pdf

f:id:morimori_imonda:20200826151903p:plain

結果はⅢでした。Ⅲというのは、以下のような診断です。

Ⅲ.大規模の地震※の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が低い。
※ 震度6強から7に達する程度の大規模の地震    

 

さまざまな報道では、「建物の老朽化」が閉鎖の理由として挙げられていますが、まあいまのところ、耐震基準としては大丈夫だと判断されたということです。

 

耐震診断の結果発表が、閉鎖発表の後っていうのがなんとも。

 

この場所だからこそスケートリンクのある施設として成功できる要素はたくさんあるはずなのに。

 

まだまだ署名活動やってます!どうぞよろしくお願いいたします。

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署名と、拡散をお願いいたします

www.change.org

引き続き署名活動を展開しています。どうぞご協力、そしていろいろな方への拡散、よろしくお願いいたします。

 

先日から毎日新聞に、元フィギュアスケート選手で、現在は慶應義塾大学や法政大学で非常勤講師をやっていらっしゃる町田樹さんが、シチズンプラザのスケートリンクの閉鎖について語られた記事が掲載されています。

 

最初の記事から、さらに多くのことが語られているようです。(有料ですが)

mainichi.jp

 

町田さんのファンの方はもちろん、たくさんのフィギュアスケートファンや関係者の方たちに読まれているようです。でもまあ、なかなか署名は集まらないところが難しいところです。どうすればいいのでしょうね。

 

シチズンプラザと同じか、少し前から、福岡市のパピオスケートリンクも、やはり2021年の閉鎖が予告されて、関係者の方たちが存続運動に取り組んでいらっしゃいます。

 

記事を検索して追ってみると、経過はこんな感じです。

www.nishinippon.co.jp

1月29日付

「パピオアイスアリーナ」(福岡市博多区)が、施設の老朽化などで早ければ来年3月にも閉鎖を検討していることが分かった。施設を運営する西部ガス(同市)が県スケート連盟などに申し入れた。

とあります。閉鎖せざるを得ない状況だと、地元のスケート連盟に申し入れた、と。

そして最近の記事です。

www.nishinippon.co.jp

7月18日付

福岡市で唯一の常設スケートリンク「パピオアイスアリーナ」(博多区)の閉鎖が検討されている問題で、市スケート連盟や県アイスホッケー連盟などは17日、運営会社の西部ガス興商(福岡市)に存続を求める5万5千筆の署名を提出した。

県スケート連盟の福留富枝理事長は「行政にも存続に向け協力要請をしたい」。同社の佐藤操社長は「5万5千筆を重く受け止めた。応援したい気持ちと、財政(負担の重さ)で引き裂かれる思い」と語り、存続可否について言及を避けた。

 

現地に知り合いがいないので、これらの記事に書かれていることが、私が持っている情報のすべてなのですが、これだけでもシチズンプラザを取り巻く事情との違いがあまりに鮮明で、ため息が出てしまいます。

 

上記の記事では、市のスケート連盟などが署名を提出したとなっていますし、記事の中身を読んでいると、リンクの運営会社が「冷凍設備更新に5億円の追加費用もかかり、同社は「一企業としては限界に来ている」として、今年1月に競技関係者に、早ければ来年3月の閉鎖を伝えた。」となっています。猶予期間はシチズンより長いですし、問題点がはっきりと打ち出されています。

 

ああ、なんという違い!

言いたくても言えないことが、たくさんあって。

 

パピオアイスアリーナの存続については、全国のスケーターが署名活動に協力したはずです。東京にいる私も、協力したくらいですから。パピオでは、いろいろな大会も開か入れているので、全国各地に思い入れを持つ人がいらっしゃるはずです。

 

いつかは私も大会に参加してみたいと思っていましたので、どうにか存続してほしいと祈っています。

 

そういえば、過去には大阪でもありましたね。同様のことが。

sports.yahoo.co.jp

 

ただ、高田馬場のリンクは、この立地ゆえに、黒字で運営できてきているんだそうです。設備更新に費用がかかるのは確かですが、経営次第では全体としてそれなりのもうけが出る施設になる見通しもあるのです。

 

どうか、東京の高田馬場のリンクの存続活動にも、ご協力をお願いいたします!

 

 

 

冬季五輪 最上Sランクの重点支援種目なのに

www.tokyo-np.co.jp

 

今年7月31日のニュースです。

2020東京五輪は今後どうなっていくかわかりませんが、2022年には北京で冬季五輪が開かれることになっています。

先日も書いたように、中国ではそれに向けて着々と会場整備が進んでいます。

daisuki-otona-figureskating.hateblo.jp

それもそのはず、次の冬季五輪までなんともう1年半もないんですよ!

ですから、大変な時とはいえ、今の時期に次の冬季五輪種目の強化ランクが決まるのは当然といえば当然……。

 

しかし、ホームリンクが失われようとしている身としては、心穏やかではいられません。

 

もちろん、五輪のための強化なんだから、強化とはすでに出来上がっているトップもトップの選手たちのため、というのが実情でしょう。それは理解できます。

トップ選手じゃなくとも、お金がかかるスポーツです。

いまは不可能とはいえ、世界中を飛び回り、練習を積み、試合で戦っていくことが求められる選手たちが必要とする費用は、半端な額ではありません。

 

それはわかっていますが、それにしても、Sランクの支援対象となるスポーツでありながら、日本の氷上スポーツが置かれた現状はなんと貧しいのでしょう。

 

Flip-flopさんは、フィギュアスケート関連のさまざまなデータを丹念にまとめてらっしゃるサイトさんですが、軒並み試合が中止になっているこんな状況下でも、情報を更新していらっしゃいます。ありがたいことです。

flip-flop.world.coocan.jp

ページ内の競技人口、2019-20年は減少していますが、それはこちらのサイトさんでは各大会のプログラムを元に選手の数をカウントしていらっしゃるためです。2020年に入ってから夏前までの大会のほとんどが新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、中止になったので、そこでデビューする選手やマスターズの選手をカウントできなかったためです。

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2005年ごろを境に、急激に競技人口は増加しています。荒川静香さんが日本人で初めてフィギュアスケートで金メダルをとったのが2006年初めに行われたトリノオリンピックです。そして、その前のシーズンに浅田真央さんが全日本選手権トリプルアクセルを跳んで話題になっています。

 

競技人口がそれだけ増えているのに、東京・神奈川のリンクは増えていません。それどころかど真ん中で支えていたリンクがなくなるわけですから。

 

そして北京で冬季五輪が開催される2021-22年シーズンには、この東京・神奈川の選手数は、今度こそ本当にガクンと減少することになるのです。

 

いまのままでは。

 

署名活動にご協力ください。

 

www.change.org

フィギュアスケート人気、あのころがピークだったね、なんて昔話したくない

高田馬場スケートリンクを残したいということで、引き続き署名運動やってます。

www.change.org

 

ツイッターなどで、いろんな方がフィギュアスケートについて語っていらっしゃるのを読んでいると、本当に勉強になります。

 

2017年11月付のこんな記事を見かけて、常に問題意識を持っている人はいるんだけど、スケート界はあまり変わってないよなあと実感したり……。

 

www.news-postseven.com

個人的な話になりますが、私、自分でスケートを始める前は、サッカーに夢中でした。

 

テレビでは、国内外の試合結果や活躍する選手について紹介する番組はたいていチェックしていました。でも一番好きだったのは、ちょっと毛色は違うけれど、テレビ東京で放送している「FOOT BRAIN」という番組でした。

 

この番組がほかのサッカー番組と違うのは、専門家を招いて技の練習法や体を鍛えるためのトレーニング、食事などに科学的にアプローチしたり、海外のビッグチームのスタジアムの構造や、トレーニングはもちろん、経営の特徴、地域社会とのかかわりなんていうところにまで切り込んだりしていた点でした。

 

サッカーは、日本でも野球に迫るほどの人気が出ていますが、各クラブチームの経営は決して楽ではありませんし、それを克服し、同時にすそ野を広げて優秀な選手を育て、さらにリーグで勝ち抜いて優勝を手にするために、J1はもちろん、J2、J3のチームも、どこも決して楽ではなく、知恵を駆使して取り組んでいます。

 

例えば欧米では多くの場合、選手たちはクラブチームの下部組織などから出てきますが、日本ではクラブチームのほかに、学校の部活から育ってくるこどもたちもいますし、それぞれ文化の違う選手たちが、プロになって活躍していくことで得られる化学変化について語られることなんかもあったように記憶しています。

 

自分でスケートをするようになってからは、サッカーに関する情報収集はやっていないのでもう最新状況はわからないのですが、なににせよはっきりしているのは、そこは大きなお金が動くところで、お金を動かすことを込み(つまりビジネスとして)、サッカーを愛する人たちと、サッカーは素人だけどお手伝いできるよ!っていう人たちが手を携えて、サッカーというスポーツを、未就学の子供たち向けの教室から、プロスポーツ生涯スポーツまで含めて全世代で盛り上げることでビジネスとして成立させるために取り組んでいる人たちがいるってことです

 

それはサッカーを愛しているから、サステイナブルにずっとサッカーをいろんな形で楽しんでいたいから。

 

で、そこんとこ、フィギュアスケートはどうなんでしょう。

 

上に挙げた記事では、選手を目指す子供たち、あるいはトップを目指す選手たちにとって、どんどん金がかかるスポーツになってしまっていて、どうなんのよ、というようなことが書いてあると思うんですが(読解力、大丈夫かな)。

 

私、正直、大人スケーターとしては、まあ日本がこれまでたどってきた経済の道筋は見ていますから、かつてはもっとあったスケートリンクがある時期にどっと減ったことは知っているわけです。だから、もちろん第一義的には自分が好きだからスケートに打ち込んでるのですが、内心のどこかで、リンクが儲かってくれればつぶれることもないから、それが現役の選手たちを支えることにもなる、と思ってお金を使ってきたところがあるんです。きっとそんな大人スケーターは少なくないはず

 

リンクが減った理由は、「儲からなくなった」「面倒になった」「もっと儲かる商売に鞍替えしたくなった」「設備が古くなったけど、新しいもの入れるほどやりたくないし辞める(あるいは入れる財力ない)」といったようなところでしょうか。

 

泣く泣く辞めざるをえなかったというスケートリンクもあるでしょうし、ビジネスだものってバサッと辞めてしまうところもあったに違いない。それでも、例えば本当にたくさんリンクがあったかつての大都会東京では、リンクを失った利用者たちも、少し遠くなってもそれほど遠すぎないところにある別のリンクに移籍すればよい(もちろん、それを喜んだ人なんていないでしょうが)という感じだったでしょう。

 

でも、いまは事情が全く違うんですよね。

 

リンクの減少傾向は続いています。スケート人気がほとんど絶頂とも言っていいほどのところに達しているのにもかかわらず。

 

荒川静香さんがバンクーバーで金メダルをとったとき、シチズンプラザのスケートリンクは貸し靴がなくなるほどお客さんが入ったそうです。その後、浅田真央さんや高橋大輔選手はじめ、たくさんの日本のトップスケーターが世界で活躍し、スケート人気はぐんぐん高まっていき、羽生結弦選手らの登場で、その人気は絶頂を迎えています。

 

フィギュアスケートの世界に足を踏み入れる子供たちが増え、たくさんの大人たちも自らスケート靴を履き、競技人口はぐっと数を増しています。

 

それだけじゃありません。さまざまな国際大会や全日本選手権、全日本ジュニアなどはもちろん、地方大会にもたくさんのファンが足を運ぶ時代です。アイスショーなどは高額でもチケットを取ることすら困難なほど盛況だったりします。

 

たくさんの人たちが、フィギュアスケートのためにものすごい額のお金を放出しているんです。

 

なのになぜ、フィギュアスケート界は貧しいままなのでしょうか。

 

いま、スケートがやりたい人は増えているのに、それを受け入れきれない環境があります。

 

でも、スケートに興味を持っている人、スケートをやりたいと思っている人たちはいつまでもいるわけではありません。

 

ただでさえ練習環境が恵まれていない日本。対して、他のアジア諸国はもちろん、各国は練習環境の充実に力を入れています。

 

このままでは、日本のフィギュアスケートが世界から忘れられる日がきたって不思議ではありません。

 

フィギュアスケート、流行ってたねえ昔、なんて、そんな会話をする時代なんて来てほしくないのですけれども。